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陸上狂技マガジン

スポーツ(特に陸上競技)に関して【DO(する)】【WATCH(観る)】【READ(読む)】という観点から備忘録として書いております。

【Watch】ヒールとベビーフェイス

ワセダ、“まさか!はありえる。”と思ったが、青学大アンカー・一色の破壊力は普通ではなかった。
 
実家の両親はなぜか“アンチ・アオガク”で、早大に声援を送っていたのだが、最後に力尽き意気消沈。因みに駒澤黄金時代は“アンチ・コマザワ”で、早稲田三冠の年は“アンチ・ワセダ”だったのだが…。
 
11月6日、48年目の伊勢路(全日本大学駅伝)である。
 
詳細な結果はともかくとして、今回のレースを踏まえて箱根駅伝における予想が比較的立てやすくなった様に思う。現時点では、青学大三冠の確率は非常に高いと言えるだろう。
 
ところで、上述の両親の反応を見て、いつだったかの『Number』で『箱根駅伝 番狂わせの論理』という特集が組まれた事を思い出し、自分自身も“それ”を無意識に期待している事に気付かされた。
 
ある勢力に立ち向かう対抗者という構図は、次第に大衆の共感を生む。
その共感は、アップセットが成就するかしないかという当落線上で最高潮を迎える。
 
漫画スラムダンク(作・井上雄彦)の最終盤では、湘北高が山王工業高を追い詰めながらも、体力、精神共に極限の状態に置かれた時、山王色に染まった観客席を徐々に湘北が染めていくのであった。
 
スポーツにおいては様々な“構図”が存在する。
もっとも基本的なものの一つとして“敵”と“味方”という概念があるのだろうが、
“悪”と“正義”というのもひとつ存在するのではないか、と思った。
 
ここでいう“悪”と“正義”は例えばドーピングに手を染めた選手と潔白の選手、
といった様な倫理上の話ではなく、人々(特に観戦者)の心に生じる共感の構図であると思う。
 
誤解を恐れずに言えば、要するに、常勝軍団が“悪”で対抗馬あるいは新興勢力が“正義”という感情である。プロレスでいうところの“ヒール(悪玉)”と“ベビーフェイス(善玉)”といったところであろうか。前者にも熱狂的なサポーターはおり、勝ち続ける事によってその熱は増す。
 
但しひとたびその地位を脅かす存在が出現すると、所々で感情の変化が生じ、ミックスされる。
“諦め”からの“期待”、“寝返り”、“意地”…etc
 
常勝軍団はしばしば“ヒール”のレッテルを貼られるものなのである。
 
『誰か、ヤツらを止めろ』ーー。
 
いかにも“劇場的”な考え方かもしれない。
 
但し、心の底に芽生えた感情を否定出来ないという事実もまたある様に思う。
 
強者の理想と挑戦者の理想。
後者が前者の上をゆく、言葉にすればシンプルな“番狂わせの論理”。
 
その成就が目前に迫った時、人々の心を、どのような感情が染めるのだろうか。
 
もしかすると、フレッシュグリーンの襷をたずさえたヒール役は、巻き起こる感情などものともせず、頂点をさらってしまうのかもしれない。ベビーフェイスの顔立ちは、多くの観衆を味方に付けている様にも見える。
 
……うーむ。
悪と正義という対立する構図を書いていたつもりが、このチームは“悪玉”と“善玉”、双方の要素を兼ね備えてしまっている様だ。
 
それこそ、彼らの人気の秘訣なのだろうが。
 
しかしながら、私自身は何か別の期待を抱いてしまう事を禁じ得ない。
 
仕方あるまい。
 
それも、傍観者の性なのである。
 

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