陸上狂技マガジン

駆け出しのスポーツライターです。スポーツに関して【DO(する)】【WATCH(観る)】【READ(読む)】という観点から備忘録として書いております。

【Watch】Boil Heart

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“悔しさ”とは、ポジティブな感情だと思う。少なくともスポーツに関しては。

 

今年度上期から特に目立ち始めた情報に、私は無意識に反応していた。

 

“入学後にルーキーが察知した危機感”、“新監督が就任直後に感じとった緩み”、“全日本予選における大敗”、“1年生が主将、副主将という異例の抜擢”。

 

全てはメディアを通じて届く断片的な情報に過ぎないが、その伏線は徐々に、この日の輪郭を形作っていたのかもしれない。

 

2016年10月15日、私はその場にいなかった。

 

Twitterで事実を知り、主将のスピーチを聴き、ネットとスポーツ各紙で概要を把握し、録画でレースの模様を観戦。時計の針を巻き戻す様に事の経緯を辿った。そこには「屈辱」「涙」「怖れ」「沈痛」といった言葉が踊り、悔しさの滲み出た表情が並んでいた。

 

誤解を怖れずに言えば、それを見て私は、「良かった」と感じた。というのも、屈辱は“未来への前進”だと思ったからだ。

 

直接取材をしている訳ではないから、生の言葉じりから取れる感情や、内状の詳細までは分からない。但し、現状に問題意識を持つルーキーと、かつて卓越した統率力と実力を発揮した新監督がほぼ時を同じくして加わり、体育会という組織の常識を壊し、化学変化を促した先の敗北であり、悔しさである、様な気がする。彼らが火を焚かなければ、水は沸き立つ事も無かったのではないか…。

 

そういった意味でこの敗北は間違いなく、前進である。

 

20XX年/東京箱根間往復大学駅伝競争

1区 :11位(区間11位)

2区 :2位(区間2位)

3区 :6位(区間12位)

4区 :2位(区間1位)

5区 :2位(区間3位)

6区 :1位(区間1位)

7区 :1位(区間3位)

8区 :1位(区間1位)

9区 :1位(区間4位)

10区:1位(区間2位)

総合優勝:中央大学

 

これは、予想ではない。20年前、彼らが最後に到達した頂きそのものである。前進の先に、どこかで見た様なそんな未来が訪れた時、私も含めた多くの人が、使い古されたあの言葉で勝利を祝うのだろうか。

 

それまでも、それからも、一部の人間ではなくメンバー全員が火を焚き、心を沸騰させ続けて欲しいと願うばかりである。

 

Boil heart Chuo.

 

PS:(来年の箱根駅伝予想はどうしよう)